会社設立の方法 どうすればいいの?②

①の続き・・・

4種類の会社形態の中で、特にご相談の多い株式会社と合同会社の違いをもう少し説明します。

まず、認知度(信用力)は株式会社が圧倒的に高いでしょう。その反面、株式会社には法令上の義務付けが多いため、その分手続費用の負担が増します。一方、合同会社は、認知度(安心感)は低いものの、経営の自由度が認められているため義務付けが少なく手続や費用の負担を押さえることができます。

ゆえに、大手企業との取引が多いとか信用面を重視するのであれば株式会社、節税やコスト面を重視する場合には合同会社がいいでしょう。

【株式会社と合同会社の比較】

 株式会社(約260万社)合同会社(約7万社)
★知名度・信用度高い低い
★出資者の名称株主社員
出資最低人数1名(法人も可)1名(法人も可)
出資者の責任間接有限責任間接有限責任
定款作成設立時に必要設立時に必要
★定款認証手続設立時に必要(手数料5万円)不要
設立登記必要必要
★設立登記の登録免許税資本金×1000分の7(計算額が15万未満の場合は15万円)資本金×1000分の7(計算額が6万未満の場合は6万円)
資本金0も可(出資は1円以上必要)0も可(出資は1円以上必要)
★役員最低でも取締役(業務執行者)1名以上が必要。その他は、任意だが会社規模により監査役や会計監査人等の設置義務もある。不要(出資者である社員全員で経営を行うのが原則)。但し、業務執行社員を定めその者が業務執行を行うことも可能
★役員の任期原則として、取締役は2年内、 監査役は4年内に終了する最終事業年度にかかる定時株主総会終了時まで(非公開会社※は定款で最長10年内まで伸長できる)なし
★意思決定機関株主総会・取締役会・取締役社員総会・業務執行社員
★決算公告事業年度毎に必要不要

※ 非公開会社とは、すべての株式を対象に、株式譲渡(売買等)の際は会社の承認が必要となる定款の定めがある株式会社のこと

いざ、会社設立へ     (株式会社の設立手続)

株式会社の設立方法は、「発起設立」と「募集設立」の2つの方法(選択できる)がありますが、発起設立が一般的です。発起設立とは、設立時の出資のすべてを発起人(会社設立の企画者)のみで行う設立方法(設立時の株主は発起人以外いないということ)になります。

以下、一般的な発起設立の手続を前提に説明していきます。

手続全体の流れは以下のとおりです。

① 必要情報(定款内容・登記内容)の決定

② 必要書類等の準備と作成

③ 定款認証

④ 設立登記申請(=設立日)

⑤ 各種申請や届出

①必要情報の決定         (定款・登記)

 設立手続の中心は、(1)定款の作成と認証、(2)設立登記の申請です。

【定款とは:登記とは】

定款 定款とは、その会社の根本規範となるもので、活動範囲を定めるなど基本的なルールを定めたものです(人間に例えると身体の骨格・血肉)。ゆえに、会社は必ず定款を作成しなければならないのです。なお、株式会社は設立時に作成した定款につき、公証人から認証を受けなければ、定款として認められません。CF設立後の定款変更の際は認証はいりません。
登記   会社(法人)登記とは、商号(社名)や所在地、事業目的、資本金、発行株式数、代表者の氏名・住所等、取引上で重要な会社に関する事項を法務局に登録し、一般に開示できるようにすることで会社の信用維持を図るとともに安心して取引できるようにすることを目的としています(人間に例えると体面・姿・形)。  会社(法人)には、株式会社、持分会社(合同会社、合資会社、合名会社)、一般社団法人、一般財団法人、特例有限会社、NPO法人、専門資格者法人などがありますが、それらすべてが登記を行う必要があります(登記しないと法人格は認められません)。すなわち設立登記が会社(法人)の効力発生要件です(会社設立日=設立登記申請日)。そして、登記が認められることで、登記がされている証拠(公文書)として法務局から登記事項証明書が発行されます。登記事項は誰でも自由に閲覧できるため取引先の実態を確認するためにも有効な手段となるのです。

※ 定款と登記事項は重なるものもありますが、定款の記載事項のすべてが登記事項になるわけではなく、反対に登記事項のすべてが定款記載事項になるわけでもありません。

 設立手続では、これら定款や登記に必要な事項を検討し決定していきます。特に重要な事項は、次の5つです。

商号(会社名)

 商号選定の際には、登記上又はその他の規制に注意しなければなりません。登記上の規制としては、①商号使用文字規制があります。例えば、使用禁止文字として、ギリシャ文字(「α、β、γ」等)、括弧記号(「()」)、銀行と誤認されるおそれのある文字、等があります。その一方、漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字(大文字及び小文字)、アラビア数字と、一定の符号(「&」(アンパサンド)、「’」(アポストロフィー)、「,」(コンマ)、「-」(ハイフン)、「.」(ピリオド)、「・」(中点))は認めらています。。

【商号例】

・株式会社バンク➡×

・株式会社株式会社タカギ.ミュージック1973➡〇

・株式会社TAKAGI.MUSIC.JAPAN(1973)➡×

・株式会社ギュギュギュギュギュイーン➡〇

・株式会社自転車創業➡〇

  もうひとつ、②同一商号、同一本店所在場所の登記はできないという登記上の規制があります。

【例:商号:株式会社大門本店:港区芝大門1-1(大門ビル5階が所在場所だがそこまで登記されてない)が既に登記されている場合】

・商号:株式会社大門、本店:港区芝大門1-1大門ビル2階➡×

・商号:大門株式会社、本店:港区芝大門1-1➡〇

・商号:株式会社大門、本店:東京都港区芝大門1-2➡〇

 以上が、商号選定に関する登記上の規制になります。それ以外は、基本的に自由に選定できますが、商標法や不正競争防止法の観点から、他社の権利を侵害する恐れがないかどうか注意してください(特許情報プラットフォームやインターネット検索をして事前に調べておく必要があります)。

③に続きます・・・

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